人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

老いの春を、煌いて生きる

mahorobayy.exblog.jp

悔いなく生き切ることを目指す79歳の青春日記

シェアハウス開設からの1ヶ月を振り返って(4)

振返り完結

去る7月6日に「やすらぎの泉」に最初の絵本プレゼントが行われた小さな本箱プロジェクトだが、その後も全国からの支援が寄せられ、25日には第2便が届けられた。
この間の流れは、プロジェクト提案者で、「やすらぎの泉」の掃除や改装にもボランティアで活躍してくださったスローな本屋Oさんの下記のブログにも詳しく報告されている。
http://slowbooks.exblog.jp/15074232/
http://slowbooks.exblog.jp/15171593/
http://slowbooks.exblog.jp/15179883/
シェアハウス開設からの1ヶ月を振り返って(4)_a0080610_0331914.jpg

小さな本箱が大きな本箱になってしまったと笑いながら、Oさんが届いた絵本たちを本棚に納める横では、「やすらぎの泉」に入居中の母子さんたち全員や延藤さんが集まり、封筒再生委員会の絵本作家・よねもとくみこ さんとYさんご夫妻のご指導で、楽しい封筒再生ワークショップが繰り広げられている。
http://blog.livedoor.jp/m-37_77162/archives/51871939.html
シェアハウス開設からの1ヶ月を振り返って(4)_a0080610_0145363.jpg

そして延藤牧師のブログに寄れば、このプロジェクトは、その後もまだ続いているらしく、この記事を私が書いている今日つまり8月10日にも、また新たな本が届けられたとの事だ。
http://blog.livedoor.jp/m-37_77162/archives/51876406.html

子供さんたちは、本をよく読むようになったようだ。テレビがないこともあるだろうが、小さな本箱プロジェクトのおかげで素晴らしい絵本が揃っていることが大きな助けになっていることは間違いないだろう。それにお母さんの誰かが読み聞かせてくれると、子供たち皆が集まり、じゃれあいながら話を聞く楽しさも捨てがたいものなのだろう。

私自身、兄弟5人の枕元で毎晩読み聞かせをしてくれた母親の声を今でも忘れないし、幼い頃から読書が私の最高の楽しみの一つになったのにも、母親の読み聞かせが大きく影響していたと思う。
ついついテレビやビデオの便利さに任せて、怠りがちな母子のスキンシップの一部に、読み聞かせによる声のふれあいも、見直されて良いのかもしれない。

シェアハウス開設からの1ヶ月を振り返って(4)_a0080610_0381081.jpg

月末には和気町役場から大人用自転車3台と子供用が1台提供されたり、有志の方が子供たちのために花火大会を開いてくださったりしたそうで、近所の子供さんも共に楽しまれたとの事。「やすらぎの泉」が町役場や地域の皆さんにも見守られて動き始めた事を実感させる出来事だった。
シェアハウス開設からの1ヶ月を振り返って(4)_a0080610_0402377.jpg

そして粘土作家のNさんは沢山の支援物資と共に、自分で作られた数点の作品を持ってきてくださった。
シェアハウス開設からの1ヶ月を振り返って(4)_a0080610_042322.jpg

素晴らしい作品たちの中でも、特に印象的なのが、以下の3点であった。
シェアハウス開設からの1ヶ月を振り返って(4)_a0080610_0444945.jpg

なんとも可愛いシーサーは、きっとこの家に住む子どもたちを守るために来てくれたのだろう。
シェアハウス開設からの1ヶ月を振り返って(4)_a0080610_102256.jpg

そして庭の岩峅を背にして、神妙に手を合わせるお地蔵さまもた、子供たちを守ってくださいというNさんの思いから生まれた、かけがえの無い作品だと思えた。

「やすらぎの泉」を開設してから1ヶ月は瞬く間に過ぎた。
この間にも、人々の善意や支援物資やさまざまな形での支援や関わりが続き、やすらぎの泉自体も充実変化し続けてきた。

入居された3家族の皆さんは、家族のように語り合い支えあい、喜びを分かち合う体験を重ねておられる。
子供さんたちは、家に閉じ込められる暮らしから、自然一杯の環境で自由に走り回れる暮らしに変わり、どんどんたくましくなり、動きもダイナミックに変化してきた。

最初は恐る恐る覗き込むだけだった用水路にも、どんどん入り始め、ザリガニやメダカを自分たちでたくさん捕まえられるまでに成長してきた。動きは俊敏になり、目は好奇心でキラキラと輝き始めたようだ。
予想はしていたものの、その変化の早さに、私自身も驚いた。

ここに来るまでは、コンクリートや新建材に囲まれた電磁波と騒音だらけの都会の家に閉じ込められ、母親の不安の感情に覆われて窮屈に暮らしていた子供たち。
それが、こちらに来てからは、閑静な田舎の大地にどっしりと足を付けた広い古民家の、たくましい材木に囲まれ、吐き出し窓に囲まれた開放的な環境で自由に動き回り、魚の泳ぐ水路での自由に遊び、そして大家族の兄弟のようなたくさんの子供たちと関わる中で心身ともに癒され、開放されて行くのだ。

彼ら彼女らが、本来の命のエネルギーを取り戻し、好奇心に目をキラキラさせながらたくましく動き始めるのは、ごく自然なことなのかもしれないが、入居開始から1ヶ月たって、いまさらながら田舎の古民家をシェアハウスにしたことの意味を教えられたような気がしている。

お母さんたち自身も変化されてきたが、子供たちの変化を見て自分の子供への認識も随分変化してきているようだ。
このあたりのことは、いずれお母さんたちの感想文を頂戴してから、詳しくお伝えしたいと思う。

今も毎日のようにやすらぎの泉へのお問い合わせが来る。
入居者の顔ぶれも、次々と入れ替わっている。
しかし、先に来ている人たちが新しい入居者さんにいろいろ教えてくださるし、まるで里帰りしてきた孫たちの面倒を見るような延藤さんご夫妻のきめ細やかで愛に満ちたフォローもあって、すぐまた仲間として溶け合っていかれる。

来た当初は、まだ頭の中の80%くらいを放射能への不安が占めていたが、ここに数日暮らすうちに、今ここでの楽しさや豊かさに心が満たされ、不安を忘れている自分に気づいたと、あるお母さんが話してくださった。

トイレは汲み取りでテレビも新聞もクーラーもない古民家での共同生活には、きっとさまざまな不自由やご苦労もあるかと思うが、それ以上に、同じような立場の仲間が共に暮らす楽しさや安心感がはるかに勝っているように思われる。
不安をもたらすニュースなどを聞く機会が減り、その分親子の会話や仲間とのおしゃべりが増えることも、心の平安には効果があるのかもしれない。


自主避難者への公的支援があまりにも少ないこの国で、放射能の不安に悩まされ続けているお母さんたちのためには、まだまだこのような受け入れ態勢が増えることが望まれるであろう。
私たち自身は、やすらぎの泉を運営しながら、自らの足元を整えることにも意識を向け続けたいので、もう新たなプロジェクトを手がける余裕はないが、もし、このようなプロジェクトを立ち上げてくださる方があるなら、私たちが学んだことをお伝えすることで応援したいと思っている。
シェアハウス開設からの1ヶ月を振り返って(4)_a0080610_242880.jpg

シェアハウス開設からの1ヶ月を振り返って(4)_a0080610_2593427.jpg

シェアハウス開設からの1ヶ月を振り返って(4)_a0080610_2403435.jpg

青空とひまわりの盛夏を楽しむ「あ ほ~庵」の静かな暮らしにもどりつつ、やすらぎの泉に関する振返りは、一旦ここで終わりとさせていただくが、引き続きやすらぎの泉の運営にかかわりながら、私たちも学んで行き、いずれまた学んだことをご報告したいと思う。

長い連載にお付き合いくださった皆さんに感謝します。
by mahorobanokimi | 2011-08-11 02:29 | おいでんせ・やすらぎ関連