生きる原点をくれた先生の話
あるNPO関係の集まりで 団塊の世代の方対象のセミナーを開催するために、実にイキイキと情熱を持って駆け回っておられる 素敵な女性に お会いした。
そのすばらしい行動力や 社会のために働く情熱がどこから来るのかを知りたくて、いろいろお話を聞いた。
「私の原点は、学生時代の家庭科の先生との出会いにあると思います。」
とその女性は話された。
その家庭科の先生は、女学生のとき空襲で右手を奪われ、失意の中で入院生活を送っておられた。
寝巻きの紐一つ 満足に結べない自分。
一生左手だけで生きていくなんて。
こんな体で 結婚だって出来っこない。
もう首をつって死んでしまおう。
絶望の末、そこまで思いつめた日、お母さんが届けてくれた寝巻に着替えようとして、彼女は ハッと気づいた。
その寝巻きには 左手で止められる位置に いくつものスナップがつけられていたのだ。
彼女が死ぬことまで考えていることを、お母さんは感じ取って 前の晩一生懸命スナップをつけてくれたに違いない。
何も言わず、無条件の愛で優しく見守り、生き抜くのよ と無言の励ましをくれている母の存在をしっかり感じ取ったその日から、彼女の人生は変わったという。
右腕のない家庭科の先生が、ニコニコ笑いながら女学生たちに裁縫を教えておられる姿を想像するだけで、私は この目の前にいるNPOの女性が なぜこんなにイキイキしておられるか分かったような気がした。
by mahorobanokimi
| 2006-11-20 02:17
| 「あ ほ~庵」日記