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老いの春を、煌いて生きる

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悔いなく生き切ることを目指す79歳の青春日記

きのくに子どもの村学園を訪ねて

かねてから噂には聞き、興味はありながら詳しい事は知らなかった、和歌山の山の中のフリースクールをお訪ねするチャンスが、突然やってきました。

今月の「くらしイキイキ塾」でゲスト講演していただく古賀直子さんから、先日、「橋本市にある学校法人きのくに子どもの村学園の園長さんにインタビューしに行くのだけれど、ビデオ担当者が用事が出来て同行できなくなったのよ。」と言う話を聞いて、 私も関心はあるし、ビデオ係の代役ということにして同行させてもらうことにしたのでした。

4日は早朝から直子さんと共に岡山を出て、一路東へ。途中、インタビューで進行役をやってくださるYさんを難波でピックアップして和歌山に向かいました。

高野山に向かう道の途中から細い山道に入って、とても一度では覚えられそうにないくねくね道を走って峠を越えたすぐ下に、校舎が姿を現しました。

折から昼食タイムということで子ども達が、食堂兼講堂のような広い部屋で 楽しそうに食事をしています。
園長さんのお勧めで、私たちもお昼を頂きました。

食事が終わると、子ども達が元気よくテーブルや椅子を部屋の一隅に片付けます。
ここでは、すべてが子ども達の自主的な活動により進められていると聞いていましたが、この手際のよさもその一端なのでしょうか。

ほどなく、学園長の堀 真一郎さん自ら 校舎の一番奥の緑に囲まれた小さな部屋に私たちを案内して下さいました。食器棚や小さなキッチンを備えたその部屋は、日を決めて子ども達がオープンしている喫茶店でした。この日はお休みでしたが、ちゃんと保健所の営業許可証まで取っているんだよ、と学園長が許可証を見せて下さいます。
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早速不慣れなビデオ機器をセットして、インタビュー開始です。
手際よく話を引き出していく直子さん、穏やかに、一つ一つかみしめるように答えられる掘さんのお話は、設立の活動を始めて25年以上、開校してから17年と言う長いご苦労と経験に裏付けられ、静かに心に入ってきます。

そして、学生時代に イギリスの教育家A.S.ニイルのことを知り、こんな子ども達の自由を尊重する教育もあるのかと感動し、それ以来 彼の教育論や 彼が開設した 世界一自由な学校といわれる「サマーヒル スクール」の研究を続け、ニイルの著作の翻訳書や彼に関する研究書も出版されているそうです。
著書は『ニイルと自由な子どもたち サマーヒルの理論と実際』
http://74.125.153.132/search?q=cache:FzVCMZ-eznkJ:books.livedoor.com/item/1142844+%E3%83%8B%E3%82%A4%E3%83%AB&cd=6&hl=ja&ct=clnk&gl=jp
堀さんのお話は、一見淡々と見えるほど静かですが、ず~っと学生時代から持ち続けた夢を、大学教授として教えるだけではなく、ついに実際の学園開設にまでつなげられた情熱がにじみ出て、聞くものをひきつけます。

体験中心の学習で、宿題もテストもなく、子どもたちの主体性と個性を何よりも大切にし、「日本で一番楽しい学校」と自認される学校だけれど、掘さんが 「ここを出て一般の高校や大学に進む人たちが如何に優秀な成績を収めているかを見て下さい。」と話されるお顔には、自信と誇りがみなぎっていました。
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助産師として、赤ちゃんが本来持っている意思や可能性、そしてその赤ちゃんと一体になって働く母体の叡智を体験的に知り尽くしている直子さんが共感をもって聞く質問に、堀さんの話もどんどん広がります。
1時間を越えるインタビューは、あっという間に感じられるほど中味の濃いいお話の連続でした。

そして、最後に
「私はこの学校で、こういう子どもの相手をしていてすごく幸せだと思っています。で、それは何が一番幸っていったら、自分自身でいられるっていうすごい幸せですよね。で、子ども達も自分自身でいられる、私も自分自身でいられる。そうするとお互いに心開いて付き合える、とまあ、こんなハッピーな関係はないです。」
「ず~っとここでやってこられて、本当に幸せです。」
そう話された顔は輝いていました。

学校を辞して山を降りる車の窓には、珍しい縦の虹が写っていました。
まるで今日の出会いを祝福してくれているように感じられました。
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そしてその後には、神々しいまでの夕焼けの空が見られたのでした。
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by mahorobanokimi | 2009-09-06 23:44 | 「あ ほ~庵」日記

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